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名優、田村正和の14年ぶりにして最後の主演作ラストラブ。映画評論家などから酷評されることが多いこの作品。それは、この作品を映画として観てしまうからだったのです。
ニューヨークでサックスプレイヤーとして活躍していた明は、妻の急死を機にジャズ界を引退し日本へ帰国。以後、娘、佐和と共にひっそりと暮らしていた。ある朝、明は清掃局の職員の女性、結にゴミの出し方をキツく注意されてしまうが、これが2人の出会いのきっかけとなる。
その日、それぞれ急遽ニューヨークに向かうことになった2人は飛行機で偶然再会。言葉を交わすうちに2人は次第に惹かれ合い、帰国後は佐和も結を慕い始め、3人は幸せな日々を過ごした。だが、ある日、体調を崩した明は、医者に余命3ヶ月と告げられてしまう。
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主演の田村正和、伊東美咲、ユンソナなど当時人気を博した女優を起用した今作。しかし酷い、とにかく全員の演技があまりにも大根。
特に、ユンソナの演技はもはやコントなのではないか?と真剣に思える程です。
しかし、出演陣の大根役者ぶりは伏線。全ては、田村正和を輝かせるために行われている作戦であるという視点に立って映画を観ると全て合点がいきます。
セリフの口調、仕草、キメ顔、独特の間、とにかく全てがカッコいい。
ストーリー中盤、田村正和演じる明(あきら)の「君の時間は未来だ、僕の時間は過去だよ。」なんてセリフを超キメ顔でさらっと言ってのけて様になる俳優なんて田村正和しかいません。
また、片岡鶴太郎演じる朝倉(唯一まともな演技が出来てる)とお寿司屋さんのカウンターで飲み語らいながら体調不良で倒れてしまうシーンの倒れ方ときたらお笑いのコントと紙一重。思わず、え~!っと言いたくなる位にすごい倒れ方をしますが、その紙一重がカッコいいという不思議。
田村正和以外の人があんな倒れ方したら、不自然過ぎて爆笑します。
この作品を酷評する全ての映画評論家は、映画ではなく田村正和のPVであるという視点を持てなかっただけではないでしょうか。
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サックスプレイヤ―の役作りの為、7カ月間もの特訓に励みジャズ界の第一人者・稲垣次郎指導のもと7か月の特訓。
スケジュールの都合上、稲垣立会いの下で行われた練習は8回のみだったにも関わらず、撮影時にはその腕前は周囲をうならせるまでのレベルに達していた田村正和。
カッコいい上に努力を惜しまないその姿勢が十分に映画の中で滲み出ています。